2018/03/29

上智大学史学会第67回大会・公開講演


本講演では、本学史学科と学芸員課程との関わりや学芸員課程の歴史を中心に報告された。

まず、1951年に博物館法が制定されたこと、日本における博物館は、博物館法上の博物館である登録博物館、それに準じた法制上の扱いを受ける博物館相当施設、博物館法の適用外となる博物館類似施設の3つに分類されることを示された。

本学での学芸員課程は196912月に認可され1970年度から始まったが、史学科に博物館、民俗学等に強い教員が多かったことから、史学科関連の教員と学生を中心に活動がなされたことを示された。また、日本史と東洋史の教員が中心となって課程の運営がなされたが、70年代後半からは東京国立博物館関連者が教科を主担当するようになると史学科との関係が緩やかになっていったことを確認された。

90年代には、次第に博物館が社会教育・生涯学習教育の場として注目され、古く珍しい物を置く場所から生涯教育の場所へと認識が変化していったこと、全国的に博物館等施設が増加したことに伴い学芸員課程を作る大学が増えていったことを示されたが、90年代中頃からは大学の学生数が減り、資格取得者と就職者との間に乖離が発生したことを述べられた。また、そのために指導要領の改定がされて必修単位が増え、登録博物館に限らず大学の認めた施設での実習の履修を便宜的に可能とする変更がされたことを示された。

なお、2011年には指導要領が改定されて更に必修単位が増え、博物館資料保存論や同展示論が加わり、館務実習必修が復活した一方、課程開講大学は減少し、各大学あたりの開講講座が削減され、資格を取得する学生の数も全国規模で減ってきていることを指摘された。

しかし、本学史学科は、学内では比較的課程を履修しやすい環境で、以前より減少したとはいえ近年では横這い状況を呈していること、博物館関連職として、課程取得者である本学史学科卒業生が、社会教育と博物館法の精神に即して多く活躍していることを示された。

最後に、史学科と学芸員課程が今後も良い関係を保って発展していくことを願う形で講演は締められた。